よくあるご質問(Q&A)

Q
学校から“要精密検査”の紙をもらったけど、すぐ病気?
A

多くの場合は近視や乱視などの屈折異常で、落ち着いて受診すれば問題ありません。ただし、一部には弱視・斜視・片目の異常など、早期対処が重要な項目も含まれます[1]。

Q
放置しても大丈夫?
A

見え方の問題は学習や姿勢にも影響するため、放置はおすすめできません。特に低学年は弱視治療の“黄金期”を逃さないことが大切です[2]。

Q
どこを受診すればいいの?
A

必ず眼科へ。眼鏡店では弱視・斜視や眼疾患の有無は評価できません[3]。

1. 学校健診がチェックしているのは「視力」だけではない

多くの親御さんは「視力が悪いと言われたのかな?」と思うかもしれません。
しかし、学校健診でチェックされるのは以下の要素です[1]。

  • ・視力(遠くがどの程度見えているか)
  • ・屈折異常(近視・遠視・乱視の可能性)
  • ・斜視(目の向きがズレていないか)
  • ・両眼視機能(両目で立体的に物が見えているか)
  • ・色覚(必要に応じて任意検査)

つまり、紙に「要精密検査」と書かれていても、“視力が低い”とは限らないのです。
特に斜視や弱視は、子ども自身が自覚しにくく、学校健診が初めての発見のチャンスになることも少なくありません[2]。


2. 「すぐに慌てるべきケース」と「落ち着いて受診して良いケース」

健診通知を見ると、多くの親御さんは一気に不安になります。
しかし、受診の“急ぐべき優先度”は以下のように分かれます。

すぐに受診したほうがよいケース

  • ・片目だけ極端に見えにくいと言われた
    → 弱視・片眼の屈折異常の可能性[2]
  • ・斜視を指摘された(目の向きのズレ)
    → 両眼視の発達に重要[4]
  • ・「検査不能」や「見え方にばらつき」と書かれている
    → 注意力・調節不全・視機能の問題など多岐
  • ・急に見えにくくなった・頭痛を伴うと言っている

これらは放置すると視機能に影響する可能性があるため、早めの眼科受診が勧められます。

数日〜1週間以内の受診で問題ないケース

  • ・視力が0.8〜0.9など、軽度の低下のみ
  • ・近視の進行が疑われるだけのケース
  • ・読み書き時に少し見えにくいと言っている程度

この場合、急を要することは少なく、落ち着いて眼科で検査を受ければ十分です[1]。


3. 眼科では何を調べるのか?

眼科を受診すると、「こんなに詳しく見るの?」と驚く親御さんもいます。
学校健診はあくまでスクリーニングであり、眼科ではより詳細な検査を行います[3]。

一般的には次のような項目を確認します。

  • ・視力検査(裸眼・矯正視力)
  • ・屈折検査(近視・遠視・乱視の度数測定)
  • ・眼位・斜視検査(カバーテストなど)
  • ・両眼視機能検査(立体視など)
  • ・調節機能の評価(ピント合わせの力)
  • ・必要に応じた眼底検査(網膜・視神経の異常がないか)

特に低年齢の子どもでは調節力が非常に強いため、仮性近視か真の近視かを見極めるための検査(調節麻痺薬を使った検査)が重要になることがあります[3]。

4. 視力だけを見て安心するのが危険な理由

多くの親御さんは、
「視力が悪くなっただけなら、眼鏡を作れば大丈夫でしょ」
と思いがちです。

しかし、学校健診の目的は、近視を見つけること“だけ”ではありません。
本来の狙いは、

  • ・視力の発達そのものに問題がないか(弱視)
  • ・目の向きや両眼視に問題がないか(斜視・融像不全)
  • ・学習・生活に支障をきたす見え方のトラブルがないか

といった、“発達や日常生活に大きな影響を与える異常”を拾い上げることにあります[1]。

特に次の2つは見逃すと影響が大きくなります。

弱視

視力の発達が途中で止まってしまう状態で、眼鏡をかけても十分な視力が出ない場合があります。
治療の効果が期待できる時期には限りがあり、小学校低学年までが“治療の黄金期”とされています[2]。

斜視

目の向きが揃わないため、両目を一緒に使う“立体視”が育ちにくくなります。
将来のスポーツや空間認識にも関わるため、早期発見・早期対応が大切です[4]。

見えにくい状態が続くと、

  • ・学習の遅れ
  • ・本や黒板を嫌う
  • ・姿勢の乱れ(のけぞる・机に近づきすぎる)
  • ・集中力の低下

などにつながるため、視力の数字だけに注目して安心してしまうのは危険と言えます。


5. 親がまずすべきことは「慌てず、確実に受診する」こと

“要精密検査”という通知は、多くの場合
「何か大変な病気が見つかった」という宣告ではなく、“視機能の変化を見逃さないための早期アラート”
と考えるべきものです[1]。

そこには、

  • ・近視の初期サイン
  • ・弱視や斜視の可能性
  • ・眼鏡が必要な時期にきている
  • ・学習に影響が出る前に確認してほしい

といったメッセージが込められています。

大切なのは、
「うちの子だけ?」と不安になるのではなく、今の見え方を専門家に一度きちんと評価してもらう機会だと前向きに捉えることです。

学校健診は、家庭では気づけない“見え方の変化”を教えてくれる大切なシステムです。
通知をもらったら、慌てすぎず、しかし先延ばしにもせず、落ち着いて眼科を受診することが、子どもの生活と学習を支える第一歩になります。


参考文献

[1]文部科学省「学校保健安全法施行規則・学校保健安全計画等に関する資料」
[2]日本小児眼科学会「弱視の早期発見と治療ガイド」
[3]大鹿哲郎『眼科学 第4版』文光堂, 2022
[4]日本眼科学会「斜視・弱視の診断と治療 指針」