よくあるご質問(Q&A)
- Q子どもの近視は、本当にゲームが原因なのでしょうか?
- A
ゲームそのものよりも、視環境や生活習慣の影響が大きいと考えられています。
- Q近視になりやすい条件には、どのような共通点がありますか?
- A
視距離の近さ、連続近見時間の長さ、屋外活動不足などが重なりやすいことが分かっています。
- Q食事や睡眠も近視と関係があるのですか?
- A
直接の原因とは断定できませんが、関連を示す研究報告は存在します。
1. 「ゲーム=近視の原因」という考え方の限界
子どもの近視について語られるとき、「ゲームのやり過ぎ」という説明がよく用いられます。しかし、医学的に見ると、ゲームという行為そのものが近視を引き起こすと断定できる根拠はありません。
実際には、
・読書
・学習用タブレット
・スマートフォン
・ゲーム
はいずれも「近くを見る作業(近見)」であり、近視との関係は内容ではなく“見方”にあります。
つまり、ゲームをしていなくても、
・長時間近距離で学習している
・屋外活動が少ない
・休憩を挟まない
といった条件がそろえば、近視は進行し得ます。
「ゲームだけが悪い」と考えてしまうと、近視の本質的な要因を見落とすことになります。
2. ゲームより重要な「環境光」「距離」「連続時間」
近視進行において、特に重要とされているのが以下の3点です。
環境光(屋内と屋外の違い)
屋外の光量は室内照明の数十倍から数百倍に達します。この強い光刺激が、眼軸長の伸びを抑制する方向に働くと考えられています[1]。
室内でいくら明るくしても、屋外活動の代替にはなりません。
視距離
画面や本との距離が近いほど、調節負荷は大きくなります。
特にタブレットやスマートフォンでは、20〜30cm以下の距離になりやすく、眼への負担が増えます。
連続時間
30分以上連続して近くを見続けると、眼軸長が一時的に伸びる現象が報告されています[2]。
これが日常的に繰り返されることで、恒常的な近視進行につながる可能性があります。
重要なのは、「ゲームをしているかどうか」ではなく、どの距離で、どれだけの時間、どの環境光の下で見ているかです。
3. 食生活と近視の関係をどう考えるべきか
食生活については、「これを食べると近視になる」「この栄養素で近視が防げる」といった単純な結論は出ていません。
ただし、いくつかの研究では、
・野菜や魚の摂取量が少ない
・高カロリー・高脂質の食事が多い
といった生活習慣と近視との関連が示唆されています[3]。
これらは、栄養そのものよりも、生活リズム全体の乱れや屋外活動不足と重なっている可能性が高いと考えられています。
食事だけを切り取って原因とするのは適切ではありませんが、全身の健康状態が視機能に影響することは否定できません。
4. 睡眠と近視の関係についての現在の知見
睡眠と近視の関係についても、研究は進んでいます。
睡眠時間が短い子どもほど近視の有病率が高いという報告がありますが[4]、これが直接的な因果関係であるかは慎重に解釈する必要があります。
夜更かしの背景には、
・夜間のスクリーン使用
・屋外活動時間の減少
・生活リズムの乱れ
が存在することが多く、これらが複合的に影響している可能性があります。
睡眠不足そのものよりも、睡眠不足に至る生活環境が近視と関係していると考える方が現実的です。
5. 近視になりやすい家庭環境の共通点
研究や臨床現場から見えてくる、近視が進行しやすい家庭環境にはいくつかの特徴があります。
・屋外で過ごす時間が少ない
・学習や娯楽がすべて屋内で完結している
・タブレットや本との距離が近い
・長時間続けて近くを見る習慣がある
・休憩のルールが決まっていない
これらは「ゲームをしている家庭」に限った話ではありません。
ゲームをしない子どもでも、同様の環境であれば近視は進行します。
6. 視力を守るために大切な視点
「ゲームをやめさせる」ことだけでは、近視対策として不十分です。
大切なのは、
・視距離を意識する
・連続近見を避ける
・屋外活動を生活に組み込む
といった、視環境全体の見直しです。
近視進行抑制として、オルソケラトロジーや低照度赤色光療法(RLRL)などの治療が研究されていますが、これらは生活環境とは切り離せません。
まずは日常環境を整え、そのうえで必要に応じて選択肢を検討するという順序が重要です。
参考文献
[1]Wu PC, et al. “Outdoor activity during class recess reduces myopia onset and progression.” Ophthalmology.
[2]Read SA, et al. “Short-term changes in axial length in response to visual stimuli.” Invest Ophthalmol Vis Sci.
[3]Lim LS, et al. “Dietary factors, myopia, and refractive error in children.” Am J Clin Nutr.
[4]Ayaki M, et al. “Sleep duration and myopia in children.” J Clin Sleep Med.

