よくあるご質問(Q&A)
- Q涙がよく出るのに、なぜ「乾く」と感じることがあるのですか?
- A
涙の量ではなく、「質」や「使われ方」に問題がある場合があります。
- Q涙が多いのは、目が健康な証拠ではないのですか?
- A
必ずしもそうではありません。むしろ、目の表面が不安定なサインであることもあります。
- Q涙が出るタイプのドライアイでも、治療が必要になることはありますか?
- A
症状や原因によっては、眼科的な評価と治療が重要になります。
1. 涙は「量」ではなく「仕組み」で目を守っています
涙というと、「たくさん出ていれば潤っている」と考えがちです。しかし、涙の役割は単純な“水分補給”ではありません。
涙は、
・油層(蒸発を防ぐ)
・水層(潤いを保つ)
・ムチン層(涙を角膜に均一に広げる)
という複数の層から成り、これらがバランスよく働くことで、目の表面は安定します[1]。
このどこかが破綻すると、涙が十分にあっても、
・すぐ蒸発する
・均一に広がらない
・目の表面をうまく覆えない
といった状態になり、「乾く」「ゴロゴロする」といった症状が生じます。
つまり、涙の“量”と“快適さ”は一致しないという点が重要です。
2. 反射性流涙という「乾きすぎて涙が出る」状態
「涙が出る=潤っている」とは限らない代表例が、反射性流涙です。
これは、目の表面が乾燥や刺激にさらされた結果、防御反応として大量の涙が分泌される状態を指します[2]。
反射性流涙では、
・風に当たると涙が出る
・目がしみると急に涙があふれる
・屋外やエアコン下で涙が止まらない
といった訴えがよく見られます。
しかし、この涙は一時的に大量に分泌されるだけで、涙液層を安定させる働きは弱く、蒸発もしやすいという特徴があります。
そのため、
「涙が出たあと、むしろ乾く」
という一見矛盾した症状が起こります。
3. 涙点閉塞など、「排出の問題」で涙が多く見える場合
涙が多く見える原因は、分泌の問題だけではありません。
涙は、目の表面を潤したあと、涙点から鼻の奥へ排出されます。この排出経路に問題があると、涙が目にたまりやすくなります。
代表的なのが、
・加齢による涙点狭窄
・慢性炎症による涙点閉塞
などです[3]。
この場合、
・常に目がうるうるしている
・外に涙がこぼれやすい
・「乾いている感じ」と「涙目」が同時に存在する
といった状態が起こります。
涙が排出されにくい一方で、涙液の質そのものは改善していないため、目の表面は不安定なままです。
その結果、見た目は涙目でも、症状としてはドライアイという状況になります。
結膜の変性・炎症・涙の質の偏り
など、医学的原因が隠れている可能性があります[3]。
4. 「涙が多い=健康」という誤解
日常的に、「涙が出るからドライアイではない」と考える方は少なくありません。
しかし実際には、
・反射性流涙
・蒸発亢進型ドライアイ
・涙液層の不安定
といった状態では、涙が多くても症状は悪化します[1][2]。
この誤解があると、
・市販点眼薬を頻回に使いすぎる
・根本原因が放置される
・症状が長期化する
といった問題につながることがあります。
重要なのは、「どれくらい涙が出ているか」ではなく、
涙が目の表面で“きちんと機能しているか”という視点です。
5. どのようなときに眼科での治療を考えるべきか
以下のような症状が続く場合は、眼科での評価が勧められます。
・涙が出るのに、乾き・異物感が強い
・風やエアコンで症状が悪化する
・目薬を使っても改善しない
・朝と夕方で症状の差が大きい
・まばたきが増えた、目を細める
・視界が一時的にかすむ
眼科では、
・涙液量
・涙液層破壊時間
・角結膜上皮障害
・涙点の状態
などを総合的に評価します。
治療は原因に応じて、
・点眼治療
・生活環境の調整
・涙点に対する処置
などが検討されます。
涙が多いからといって、治療の必要がないとは限りません。
参考文献
[1]DEWS II Definition and Classification Report. Ocul Surf.
[2]Tsubota K, et al. “Dry eye disease and reflex tearing.” Invest Ophthalmol Vis Sci.
[3]Ali MJ, et al. “Lacrimal drainage system disorders.” Surv Ophthalmol.

