よくあるご質問(Q&A)

Q
赤ちゃんの寄り目は、どこまで“様子見”でよいのですか?
A

新生児期〜乳児早期には一時的な“寄り目”がよく見られますが、月齢を超えて続く場合は注意が必要です。

Q
写真で片目がズレて写るのは本当に斜視なのですか?
A

鼻の形や光の反射で“斜視のように見えるだけ”という「偽斜視」のこともあります。

Q
斜視は治療すればよくなるのですか?
A

原因・タイプ・年齢によって異なりますが、早期治療で改善が期待できるケースが多くあります。

1. 新生児・乳児に多い“一時的な寄り目”と病的な斜視の違い

生後間もない赤ちゃんは、眼球を正確に動かすための神経発達が未熟であるため、
・視線がフラつく
・一瞬だけ内側に寄る
・左右で動きが揃わない
といった“生理的な寄り目”がしばしば見られます。

これは多くの場合、成長とともに自然に改善します。
しかし、
・3〜4か月を過ぎても頻繁に内側へ寄る
・寄り方が常に同じで、変化しない
・片眼のみがズレ続ける
といった場合は、病的な斜視の可能性が出てきます。

特に、生後6か月以降で持続する内斜視は、乳児内斜視と呼ばれることがあり、早期評価が重要です[1]。


2. 内斜視・外斜視・偽斜視──見た目と本当の斜視は一致しないことがあります

斜視といっても種類はさまざまで、治療方法や経過は大きく異なります。

内斜視(寄り目に見える)

片目または両目が内側に向くタイプです。
乳幼児期に発症し、治療が必要となる例が比較的多い斜視です。
遠視が強い子どもでは、調節を過剰に使うことで内側に寄る「調節性内斜視」が起こることがあり、眼鏡装用で改善が期待できます[2]。

外斜視(外側にズレる)

目が外側へ向くタイプです。
“たまに外へズレる”程度の間欠性外斜視はよく見られ、疲労や体調によって出たり消えたりすることがあります。
ただし、頻度が増える場合や持続する場合には、視力発達への影響を含め評価が必要です。

偽斜視(斜視に見えるだけ)

鼻の付け根が広い・眉間が目立つなどの顔の特徴によって、見た目だけが内斜視のように見えることがあります。
写真で「片方の目だけズレて写る」という相談の多くが、実際には偽斜視です[3]。
しかし、見た目では判別できないことも多いため、判断は眼科での検査が必須です。


3. 早期治療で改善が期待できるケース

斜視は、“放っておけば真っ直ぐになる”ものばかりではありません。
しかし、早期に治療を開始することで改善が期待できるケースが多くあります。

調節性内斜視

強い遠視が原因で内斜視が生じるタイプで、適切な眼鏡装用によって改善しやすい代表的な斜視です。

間欠性外斜視

ズレる頻度やコントロールの程度によっては、訓練・プリズム眼鏡・手術など複数の選択肢があります。
視機能の評価によって、適切な管理方針が決まります。

乳児内斜視

早期の手術が有効とされるタイプもあり、特に視力発達の重要な時期(生後〜数歳)に適切な評価を受けることが最重要とされています。

斜視は原因が多様であり、どのタイプなのかを正確に見極めることが治療の第一歩です。

4. 斜視治療と視力発達(弱視)との関係

斜視は“見た目のズレ”だけの問題ではなく、視力発達に直接影響することがあります。
片目がズレた状態が続くと、脳がその眼を正しく使わなくなり、
**弱視(視力の発達が妨げられる状態)**につながることがあります[1][2]。

弱視は早期に治療を開始するほど改善しやすいため、斜視が疑われる際には、
・屈折度
・片眼ずつの視力
・両眼視機能
を正確に評価することが欠かせません。

眼鏡治療、遮閉(アイパッチ)、視能訓練(視機能訓練)、手術などが組み合わせて検討されます。


5. どんなときに早めに眼科へ相談すべきか

次のような状況があるときは、専門的な評価が必要なことがあります。

・写真で片目だけ光の反射位置がずれる
・一定の方向に常に寄る
・寄り方が頻繁、または持続する
・片目を隠すと嫌がる、泣く
・テレビや絵本を読むときに顔を傾ける
・近くが見えにくそう、距離の調整が苦手
・乳児で、生後3〜4か月以降も視線のズレが改善しない

斜視には治療が有効なケースも多く、早期の診断が将来の視力発達に直結します。
迷った場合は、「様子を見る」よりも、まず評価を受けておく方が確実です。


参考文献

[1]Holmes JM, Clarke MP. “Amblyopia.” Lancet.
[2]Rahi JS, et al. “Childhood vision disorders and early detection.” BMJ.
[3]Stager D, et al. “Pseudostrabismus in infants: clinical characteristics and outcomes.” J Pediatr Ophthalmol Strabismus.