よくあるご質問(Q&A)

Q
まつげが目に当たる…大人の“逆さまつげ”がつらいのに気づかれない理由
A

乳幼児に多いのは確かですが、実は大人の内反症は加齢に伴い非常によく起きる症状です[1]。

Q
まつげが少し当たるだけなのに、そんなにつらい?
A

はい。まつげは硬い構造物で、角膜を直接こすると“砂が入ったような痛み”が続きます。慢性的な角膜びらんの原因にもなります[2]。

Q
市販の目薬やまつげケアで治る?
A

まつげが当たる原因は“まぶたの構造変化”なので、点眼では根本治療になりません。必要に応じて眼科的な治療が必要です[3]。

1. 「逆さまつげ=子どもの病気」という誤解

多くの人は、逆さまつげ(内反症)は赤ちゃんのときに多いものだと思っています。
確かに乳児内反は皮膚が厚く、自然に改善することが多いのですが、大人の内反症はまったく性質が異なります。

成人では、

  • ・皮膚のたるみ
  • ・まぶたの筋力低下
  • ・まぶたの縁を支える構造(瞼板)の変化
  • ・眉毛位置の下降

といった加齢変化が重なって、まぶた自体が内側へ倒れ込むことが原因になります[1]。
つまり、大人の逆さまつげは“自然治癒しないタイプ”が多いのです。


2. 大人の内反症が起こる仕組み ― 加齢でまぶたが内側に倒れる

加齢で起こる眼瞼の変化は、実は顔の印象に大きな影響を与えます。

皮膚のたるみ

年齢とともに皮膚の張りが失われ、まぶた全体が内側へ寄りやすくなります。

眼輪筋のゆるみ

まぶたのフチを引き上げる筋肉が弱ることで、まつげが外を向きにくくなります。

眉毛の下降

眉毛が下がってまぶたを押し込むようになり、まつげが角膜に触れやすくなることがあります[1]。

炎症・外傷後の変化

結膜炎の慢性化や外傷後に、まぶたが内側へ引き込まれる「瘢痕(はんこん)性内反」が起きることもあります[3]。

結果として、
まつげが常に角膜や結膜に接触する“擦れ状態”
が続いてしまいます。


3.  “誰にも理解されにくいのに、強烈につらい”という現実

大人の逆さまつげは、本人の訴えと周囲の理解の差が非常に大きい症状です。

  • ずっとゴロゴロする
  • まばたきするたび痛い
  • 涙が止まらない
  • 夕方になると悪化する
  • コンタクト装用が難しい

ところが鏡で見ると“ほとんど正常”に見えることも多く、
「気のせい?」「疲れているだけ?」と誤解されやすい。

しかし実際には、角膜表面には
微細な上皮びらん(傷)が連続して生じている
ケースが多く、それが痛みやしみる感じの原因です[2]。

見た目は地味でも、生活の質を大きく落とす症状のひとつです。

4. 放置してはいけない理由 ― 角膜びらんの悪循環

まつげが角膜に触れ続けると、角膜のダメージが徐々に蓄積します。

  1. まつげが角膜をこする
  2. 表面の上皮が剥がれる(角膜上皮びらん)
  3. 炎症でさらに痛み・乾燥・充血が増す
  4. 涙膜が不安定になり、さらに擦れやすくなる
  5. びらんが慢性化し、視界がかすむことも

こうして悪循環ができてしまうと、
ドライアイや反復性びらん、結膜炎の慢性化につながります[2]。

成人内反症が“放置厳禁”と言われる理由がここにあります。


5.大人の逆さまつげは“構造が原因”なので、適切な治療が必要

大人の内反症は、原因がまぶたの構造そのものにあるため、
市販薬やセルフケアで治すことはできません。

眼科で行う治療は、以下のように段階的です。

当たっているまつげの抜去(応急処置)

症状を一時的に和らげるために行いますが、すぐに生えるため根治ではありません。

角膜の保護・炎症の治療

角膜びらんや炎症がある場合は、

  • ・保護用の点眼
  • ・乾燥対策
  • ・アレルギー治療
    を行い、ダメージを減らします。

内反の原因評価

眼科で

  • ・皮膚のたるみ
  • ・筋力の低下
  • ・まぶたの構造
  • ・傷跡の有無
    などを評価し、内反の“型”を判別します[3]。

根治治療:眼瞼内反矯正術

大人の逆さまつげを根本から治すのは手術のみです。
必要最小限の幅でまぶたを固定し、角膜にまつげが当たらないようにします。

眼瞼下垂症手術と同時に行うケースもあり、
視界・痛み・見た目の改善につながることがあります。

参考文献

[1]日本眼科学会「眼瞼疾患の基礎知識」
[2]大鹿哲郎『眼科学 第4版』文光堂, 2022
[3]日本形成外科学会「眼瞼内反症・下垂症の診療ガイド」