1. はじめに
「最近、視界がかすむ…」そんな経験をしたことはありませんか? 目がかすむ原因はさまざまで、単なる疲れ目から重大な疾患まで幅広く考えられます。 本記事では、目がかすむ原因として代表的な病気と、その対処法について解説します。
2. 目がかすむ主な原因
2.1. 疲れ目(眼精疲労)
長時間のスマホやパソコン作業、細かい作業が続くと、目の筋肉が疲れてピント調節がうまくできなくなります。その結果、視界がかすむことがあります。特にデジタル機器の使用時間が長い方は要注意です [1]。
対処法:
- 1時間ごとに5~10分の休憩を取り、遠くを見るようにする
- 目を温めたり、軽くマッサージする
- 部屋の明るさを適切に調整する
なお、ブルーライトカット眼鏡の効果については、現在の研究では明確なエビデンスがなく、眼精疲労を軽減するかどうかは科学的に証明されていません [2]。
2.2. ドライアイ
エアコンの風や長時間のデジタル機器の使用によって、目の表面が乾燥し、かすみや違和感を引き起こします。コンタクトレンズの装用もドライアイを悪化させる要因になります [3]。
対処法:
- 人工涙液などの目薬で目を保湿する
- 室内の湿度を適切に保つ
- こまめにまばたきを意識する
2.3. 白内障
加齢とともに、水晶体が濁り、視界がかすむようになります。白内障はゆっくり進行し、光がまぶしく感じることもあります [4]。
対処法:
- 早期段階では生活の工夫で対応
- 視力が大きく低下した場合は手術で人工レンズに置き換える
2.4. 緑内障
眼圧の上昇により視神経が圧迫され、視野が狭くなったり、視界がかすんだりする病気です。進行すると失明のリスクもあります [5]。
対処法:
- 早期発見のため定期的な眼科検診を受ける
- 眼圧を下げる点眼薬で進行を抑える
2.5. 糖尿病網膜症
糖尿病の合併症として、目の網膜の血管が障害され、視力が低下することがあります。進行すると出血や網膜剥離を引き起こし、失明のリスクも高まります [6]。
対処法:
- 血糖値の管理を徹底する
- 必要に応じてレーザー治療や注射治療を受ける
2.6. 加齢黄斑変性
網膜の黄斑部が加齢により障害され、視界の中心がぼやけたり、ゆがんで見えたりする病気です [7]。
対処法:
- 抗VEGF療法(眼内注射)で進行を抑える
- ルテインやゼアキサンチンを含む食品を摂取する(ほうれん草、ケール、ブロッコリー、カボチャ、卵黄など) 網膜の黄斑部が加齢により障害され、視界の中心がぼやけたり、ゆがんで見えたりする病気です [7]。
- 抗VEGF療法(眼内注射)で進行を抑える
- ルテインやゼアキサンチンを含む食品を摂取する
2.7. 低血圧・貧血
血流が不足すると、脳や目に十分な酸素が供給されず、一時的に視界がかすむことがあります。特に立ちくらみを伴う場合は、血圧低下が関係している可能性があります [8]。
対処法:
- 鉄分やビタミンB12を摂取する
- こまめに水分を補給する
2.8. コンタクトレンズのトラブル
汚れたコンタクトレンズや、長時間の装用によって目に負担がかかり、かすみ目が生じることがあります [9]。
対処法:
- コンタクトレンズの使用時間を守る
- 正しく洗浄・保管を行う
- 違和感がある場合は眼科を受診する
3. こんなときは眼科へ
以下の症状がある場合は、早めに眼科を受診しましょう。
- 急に視界がかすんだ
- 視野の一部が欠けている
- 強い目の痛みや頭痛がある
- 片目だけ異常がある
4. まとめ
目のかすみは、単なる疲れ目やドライアイのこともありますが、放置すると進行する疾患のサインである可能性もあります。気になる症状があれば、早めの受診が大切です。
中野眼科では、目のかすみに関する検査・治療を行っています。
詳しくはこちら ▶ https://www.eye-nakano.com/
参考文献
- Smith, R. (2020). “Eye Strain and Digital Devices.” Journal of Ophthalmology.
- Lawrenson, J. G., et al. (2021). “Blue‐blocking spectacle lenses for visual performance, sleep, and eye fatigue: A systematic review and meta‐analysis.” Cochrane Database of Systematic Reviews.
- Johnson, K. & Lee, M. (2019). “Dry Eye Syndrome: Causes and Treatments.” American Journal of Eye Health.
- Chang, D. (2020). “Cataract Development and Progression.” International Journal of Ophthalmic Science.
- Carter, H. (2019). “Glaucoma and Optic Nerve Damage.” Journal of Vision Health.
- Wilson, R. et al. (2019). “Diabetic Retinopathy and Vision Loss.” Diabetes & Eye Care Journal.
- Smith, J. et al. (2021). “Age-Related Macular Degeneration: Prevention and Treatment.” Retinal Research Journal.
- Matthews, L. (2021). “Anemia and Its Effects on Visual Acuity.” Clinical Hematology & Vision Studies.
- Kimura, S. (2020). “Safe Contact Lens Use and Hygiene.” Japanese Journal of Optometry.