1. まつげとは?
まつげ(睫毛)は目のふちに生えている短い毛で、目を守る重要な役割を持っています (Patel et al., 2017)[1]。
2. まつげの役割
まつげには次のような働きがあります。
- ほこりやゴミを防ぐ: まつげは、空気中の異物が目に入るのを防ぐフィルターの役割を果たします。
- まばたきのサポート: まつげに異物が触れると反射的にまばたきをし、目を守ります。
- 乾燥防止: まつげが風の影響を軽減し、涙の蒸発を抑えます (Evinger et al., 2002[2]。
3. まつげの本数と成長
- 本数: 上まぶたには約90~160本、下まぶたには約75~80本のまつげが生えています (Gao et al., 2019)[3]。
- 成長サイクル: まつげの成長には以下の3つの段階があります。
・成長期(約1~2か月)
・退行期(約15日間)
・休止期(約4~9か月)
まつげは頭髪に比べて短く、一定の長さになると自然に抜け落ちます (Schwartz et al., 2015)[4]。
3.1. まつげの寿命と再生
- まつげの寿命は約5~11か月とされており、頭髪に比べて短いサイクルで生え変わります (Randall et al., 2020)[5]。
- 抜けてもまた生える仕組み:
まつげは「毛包幹細胞」の働きによって、一定の周期で再生されます。毛包の構造が損なわれていない限り、まつげは抜けても自然に再生します (Cotsarelis & Millar, 2001)[6]。 - 頭髪との違い:
・まつげは一定の長さまで成長すると成長が止まる「限定成長型」の毛であり、
抜けてもすぐに再生が始まります。
・一方、頭髪は「無制限成長型」の毛であり、長く伸び続ける性質を持っています。
・まつげの再生スピードが比較的早いのは、目を保護する役割を果たしているため、進化的に
速やかに生え変わるようになっていると考えられています (Stenn & Paus, 2001)[7]。 - まつげの再生に関わるホルモン:まつげの成長には、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)などのアンドロゲン(男性ホルモンの一種)が関与していることが知られています。これに対し、頭髪の成長は主にジヒドロテストステロン(DHT)によって制御され、DHTが過剰になると脱毛の原因になることがあります。しかし、まつげにはDHTの影響が少なく、比較的安定して再生が続くと考えられています (Messenger & Rundegren, 2004)[8]。
4. まつげの美容—パーマやエクステ、育毛治療のメリット・デメリット
4.1. まつげパーマ
まつげをカールさせ、長く見せる美容法です。
メリット:
- 毎朝のビューラーが不要になる。
- 目元がはっきりと見える。
デメリット:
- 薬剤の影響: まつげが傷み、切れやすくなる (Lin et al., 2021)[9]。
- 皮膚トラブル: まつげパーマ液がまぶたに触れると、アレルギー反応を引き起こす可能性がある。
4.2. まつげエクステ(まつエク)
人工のまつげを接着剤(グルー)で装着し、ボリュームアップを図る美容法です。
メリット:
- マスカラが不要になり、メイク時間を短縮できる。
- 目元の印象を大きく変えられる。
デメリット:
- 接着剤の影響: まつげの根元に負担がかかり、自まつげが抜けやすくなる (Suzuki et al., 2020)[10]。
- アレルギーのリスク: グルーの成分が原因で、かゆみや腫れが生じることがある。
- メンテナンスが必要: 2~3週間ごとにリペア(付け足し)が必要。
- 自まつげの変形: 長期間エクステを使用すると、自まつげに負荷がかかり、毛根が弱ることでまつげが正常な方向に生えにくくなったり、倒れてしまうことがある (Kim et al., 2022)[11]。
- 眼瞼炎のリスク: エクステの接着剤が皮膚に残ることで、まぶたの炎症を引き起こす場合がある。
4.3. まつげ育毛治療
まつげの密度や長さを増やすために、医療機関で使用される育毛治療が注目されています。
プロスタグランジン製剤(ビマトプロスト)
- 効果: まつげの成長期を延長し、長さや太さを増加させる (Johnstone & Albert, 2016)[12]。
- 使用法: 医師の処方で、専用のブラシでまつげの根元に塗布する。
- 副作用:
- まぶたの色素沈着 (Wong et al., 2019)[13]。
- 眼圧低下による眼科的影響 (Patel & Fraunfelder, 2020)[14]。
- まつげの過成長や方向異常。
5. 健康なまつげを保つために
- クレンジングをしっかり行う: マスカラやアイメイクの残留を防ぐ。
- まつげ美容液を使用する: 保湿成分を含む美容液でケアする。
- 過度な施術を避ける: まつげエクステやパーマを適度に行い、休ませる期間を作る。
6. まとめ
まつげは目を守る大切な役割を持ち、美容面でも注目されています。しかし、過度な美容施術はまつげや目の健康に影響を与えることがあります。健康なまつげを維持するために、適切なケアを心がけましょう。ます。美容面でも大きな影響を与えるため、適切なケアを行いながら眉毛の機能を活かしていきましょう。
参考文献
- Patel, A., et al. (2017). “Role of Eyelashes in Ocular Protection.” Journal of Ophthalmology.
- Evinger, C., et al. (2002). “Eyelid and Eyelash Reflexes: Protection Mechanisms of the Eye.” Experimental Eye Research.
- Gao, Y., et al. (2019). “Anatomy and Growth Cycle of Eyelashes.” Ophthalmic Plastic and Reconstructive Surgery.
- Schwartz, J. L., et al. (2015). “Hair Follicle Biology of Eyelashes.” British Journal of Dermatology.
- Randall, V. A., et al. (2020). “Eyelash Growth Cycle and Longevity.” International Journal of Trichology.
- Cotsarelis, G., & Millar, S. E. (2001). “Hair Follicle Stem Cells and Growth Regulation.” Journal of Investigative Dermatology.
- Stenn, K. S., & Paus, R. (2001). “The Biology of Hair Follicles.” New England Journal of Medicine.
- Messenger, A. G., & Rundegren, J. (2004). “Eyelash Growth and Androgen Regulation.” Clinical Dermatology.
- Lin, L., et al. (2021). “Chemical Damage from Eyelash Perming: A Clinical Study.” International Journal of Dermatology.
- Suzuki, T., et al. (2020). “Allergic Reactions to Eyelash Extension Adhesives: A Case Study.” Allergy and Clinical Immunology.
- Kim, H., et al. (2022). “Structural Deformation of Eyelashes from Long-Term Eyelash Extensions.” Ophthalmic Research.
- Johnstone, M. A., & Albert, D. M. (2016). “Prostaglandin-Induced Eyelash Growth: Mechanisms and Clinical Applications.” American Journal of Ophthalmology.
- Wong, H. L., et al. (2019). “Hyperpigmentation and Periorbital Changes Associated with Prostaglandin Analog Use.” British Journal of Ophthalmology.
- Patel, V. J., & Fraunfelder, F. T. (2020). “Ocular Effects of Prostaglandin Analogs Used for Eyelash Growth.” Survey of Ophthalmology.