1. はじめに
カラーコンタクトレンズ(以下、カラコン)は、ファッションアイテムとして若者を中心に広く普及しています。しかし、誤った使用方法や管理の不備により、深刻な眼疾患を引き起こすことがあります。本コラムでは、カラコンの危険性について詳しく解説します。
2. カラーコンタクトの種類と構造
カラコンは、色付きの着色層を持つコンタクトレンズの一種です。種類には以下のようなものがあります。
- 度なしカラコン:視力補正機能がなく、主にファッション目的で使用。
- 度ありカラコン:視力補正機能を持ち、一般的なコンタクトレンズと同様の役割を果たす。
カラコンの着色部分は、直接角膜に触れないように設計されていますが、粗悪な製品では着色剤が露出し、眼のトラブルを引き起こすことがあります。
3. カラーコンタクトによるリスク
カラコンの使用には、以下のようなリスクが伴います。
3.1. 角膜への酸素供給不足
通常のコンタクトレンズと比較して、カラコンは着色層の影響で酸素透過率が低くなる傾向があります。これにより、角膜が十分な酸素を得られず、以下のような症状が生じる可能性があります。
- 角膜浮腫(角膜が腫れる)
- 角膜血管新生(血管が角膜内に侵入する)
- 角膜炎(角膜が濁る、激しい疼痛)
3.2. 感染症のリスク
カラコンの不適切な使用は、細菌や真菌による眼感染症のリスクを高めます。特に以下のようなケースでは危険です。
- 不衛生な管理(手を洗わずに装着、ケースの洗浄不足など)
- 長時間装用(推奨時間を超えて装用する)
- 水道水での洗浄(水道水に含まれるアカントアメーバが感染症を引き起こす可能性)
3.3. アレルギー反応や角膜障害
カラコンの着色剤や保存液に対してアレルギー反応を示すことがあります。また、品質の悪い製品では着色層が剥がれ、角膜に直接ダメージを与える可能性があります。
3.4. 視力低下や視界の歪み
不適切なサイズのカラコンを使用すると、視界が歪んだり、光の屈折が不均一になったりすることがあります。特に大きな直径のカラコンは、黒目の位置と合わないことで視界の遮蔽を引き起こすことがあります。
4. 適切な使用方法
カラコンのリスクを減らすためには、以下の点に注意する必要があります。
- 眼科で検査を受け、処方箋に基づいたカラコンを選ぶ
- 適切な装用時間を守る(1日8時間以内が推奨)
- 正しいケア方法を実践する(レンズケースの定期交換、専用液での洗浄)
- 目に違和感があればすぐに使用を中止し、眼科を受診する
5. 違法・粗悪品の危険性
インターネットや非正規ルートで販売されているカラコンの中には、
- 酸素透過率が低い
- 着色層が粗悪で、剥がれやすい
- 未承認の色素が使用されている などの問題を抱えるものがあります。正規品を選ぶことが重要です。
6. まとめ
カラコンは適切に使用すれば安全なアイテムですが、不適切な管理や粗悪品の使用は重大な眼障害を引き起こす可能性があります。眼の健康を守るために、正しい知識を持ち、安全な方法で使用することが重要です
参考文献
- 日本眼科学会. “カラーコンタクトレンズの安全な使用に関するガイドライン”. 2023年.
- American Academy of Ophthalmology. “Risks of Cosmetic Contact Lenses”. https://www.aao.org/
- Wu Y, et al. “Ocular Complications Associated with Cosmetic Contact Lens Wear”. Eye Contact Lens. 2018.
- Stapleton F, et al. “Contact Lens-Related Microbial Keratitis: Risk Factors and Prevention Strategies”. Clin Exp Optom. 2016.